
土地(建物)使用賃貸借契約書とは?注意点や貸借の違いは?
漢字のニュアンスからも想像できそうですが、土地(建物)使用賃貸借契約書とは、土地の貸し借りに関する契約です。
ですが、ちょっと待って下さい。
使用賃貸借契約書の部分だけを見ると、土地以外にも使えそうな内容に思えます。
実はその通り。使用賃貸借は土地以外でも、言ってしまえば貸し借りの全般に当てはめられます。
しかし、土地が絡んでくると、知らなかったでは済まないポイントがあるのです。
そこで、使用賃貸借契約書の中でも、土地に関する部分から、この契約書を紐解いていきたいと思います。
□使用貸借と使用賃貸借の違い
では、まず土地の話に行く前に、使用貸借契約と使用賃貸借契約の違いを説明したいと思います。
この『賃』という一文字が入っているか、入っていないかが、このあとの土地の話しに重大な影響があるのです。
この『賃』という一文字、結論から言えば、お金のやり取りがあるかないかということです。
部屋を借りる場面をイメージいただくと一番いいかも知れませんね。
あれは家賃という賃料を支払うので、賃貸借な訳です。
逆に、『賃』が入っていなければ、ただの使用貸借になります。
使用貸借と言うと分かりづらいですが、物を使うために貸し借りするだけという意味です。
そこにはレンタル賃金などはかからないのが使用貸借という括りです。
□土地で見る貸借と賃貸借の注意点
前項では、全般的な使用貸借と賃貸借のお話しをしました。
では一体なぜこれが土地になるだけで、それほど注意しなければならないのでしょうか。
実は、土地を賃貸借する場合、借地借家法という法律が契約自体に適応されるからなのです。
これは借りる側の権利を守る性質があるため、借主にとって大事ですし、貸主にとっても足元をすくわれる可能性があるため、しっかりと判断しなければならない部分なのです。
ここでは借地借家法を全て解説するというよりは、分かりやすい事例でまずはイメージを掴んでもらいたいと思っています。
実際の事例を述べていきましょう。
まず、皆様が物をタダで貸す時、又は借りる時、どちらが立場が上でしょうか。
例えば無償で車を貸す場合を考えてみてください。
当然貸す側が『いつまでに』『傷をつけずに』『元のところに戻す』などの、期限や条件を付けることが一般的でしょう。
そして借りる側は、その条件を分かった上で借りるのです。
つまり、貸す側の立場が非常に強いと言えるでしょう。
それは土地だったとしても変わりません。
が、土地の場合には困ったことが起こります。
土地を借りるというのは当然何かに使うために借りるのです。例えば、借りた土地に家を建てるかも知れません。駐車場にするかも知れません、季節のイベント会場にするかも知れません。
このように実際に使っている最中に、やっぱりすぐ返してと言われてしまってもひどく困ります。
そこで、土地を賃貸借するということになるのです。
土地を使用料を払って借りる場合、借地借家法の適応が受けられ、借りる側の権利が強くなります。
車の例で言えば、お金が発生すると、借りる側も強気になるだけでしょうが、土地の場合は、実際にいろいろな権利が与えられるのです。
例えば、貸した側の都合で、今すぐに返せということができなくなり、期限の取り決めがなくても30年は借りたままでいられます。
また、その土地の使い方についても、貸した側の条件を全て飲まなくてもよいのです。
さらに、借りていた側が亡くなった場合でも、この賃貸借契約は生きており、相続することも可能です。
『賃料』があるかないかだけですが、かなりの違いが出てきます。
逆に言えば、貸す側が、お金なんていらないよ自由に使ってよ!と言っていたとしても、気持ちなんでと毎月一定の額を支払っていればそれは賃料と変わりません。
貸す側がそろそろ返してもらっていい?と言っても後の祭り。借りた方が借地借家法の適応を主張し、認められれば、貸す側はすぐの返還を請求できない可能性もあります。
このように貸主、借主どちらからみても重要なものなのです。
また、他の契約書の項でもお伝えしていますが、ここでの大事な意識としては、契約書の名前が【土地使用貸借契約書】となっていたとしても契約書の内容が賃貸借契約であれば、賃貸借契約書であると言われてしまう可能性があるということです。
ですから、内容までしっかりと査収する必要があります。
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